ディープ・ブルー オリジナル・サウンドトラック B00024ZB5I
■Amazonエディターレビュー 知られざる海の神秘世界を冒険するスペクタクル映画『ディープ・ブルー』(2004年夏日本公開)は、アホウドリ、ペンギン、サメ、イルカ、アザラシ、シャチ、クジラそして魚からプランクトンに至るまで無数の生き物たちが主人公の、生きとし生けるものの真実のドラマである。なかでも、海の殺し屋シャチがアザラシやクジラの子どもを食らうシーン、海岸を覆う無数のカニたちのダンス、零下50度・風速45メートルの酷寒のなか160キロもの距離を絶食状態で集団移動するペンギン、5000メートルの深海にうごめく摩訶不思議な発光生物たちなどには、心底驚嘆させられる。よくぞここまで、と思うほど生き物たちのすぐ近くで撮影されているが、こうした貴重な映像を撮るには、4年半もの年月、7000時間もの撮影フィルム、200か所以上のロケ、そして想像を絶する労力と技術がかかったという。 ドキュメンタリーというよりは、スペクタクルに近いこの映画において、音楽は、人間の視線という要素を介在させ、ありのままを自然を“感動のドラマ”へと昇華させる大きな役割を果たしている。音楽を手がけたジョージ・フェントンは、演劇や映画、テレビの劇伴音楽作曲家。映画『遠い夜明け』『ガンジー』等のスコアでアカデミー賞にノミネートされ、ヴェネツィア映画祭で最優秀賞などを受けている。しかし何と言っても本盤で注目なのは、映画サントラ初登場という、世界最高のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を贅沢にも起用していることであろう。 このサントラ盤では一層はっきりと確認することができるが、この響きは、本拠地フィルハーモニーで演奏された、いつものあの分厚くダイナミックなベルリン・フィルのサウンドそのものである。ずしりとした音楽的な手ごたえ、満足感は比類がない。この雄弁な演奏の力が、「ディープ・ブルー」の別の大きな魅力となっていることは間違いない。(林田直樹) |