恋火 4093861137 小学館
■Amazonエディターレビュー 天国にある不思議な書店「ヘブンズ・ブック・サービス」を舞台に繰り広げられるラブロマンス「天国の本屋」シリーズの第3弾。突然「天国の本屋」でアルバイトをすることになった大学生、さとしと、心に傷を持った女性ユイとの出会いを感動的につづった第1弾??????????????¬?±????は舞台化もされ、地方書店からじわじわと火がつくロングセラーとなった。本書もまた、透明水彩で描かれたやさしいタッチのイラストが印象的な、絵本仕立てのファンタジックなストーリーだ。 リストラされたピアニストの健太は、酒場で麦わら帽子にアロハシャツという奇妙ないでたちの老人ヤマキと出会ったことがきっかけで、「天国の本屋」でバイトを始めることに。そんな健太の前に現れたひとりの女性。彼女は健太に『椿姫』を朗読して欲しいと頼む。一方、地元商店街の活性化のために奔走する香夏子は、かつて商店街の花火大会で「恋する花火」という美しい花火を打ちあげた花火師を探す。やがて、天国の健太と現世の香夏子の2つ物語は、交錯しながら14年前のある悲しい恋の結末へと導かれていく。 未完のピアノ曲、伝説の花火、10年目の約束、意外な出会い。ドラマティックな要素をふんだんに取り入れた本書は、より深みを増したストーリーに加え、視覚や聴覚にも訴える映像的なイメージが効果的に盛り込まれている。読者はページを繰るごとに、ピアノの旋律と心温まる朗読の声に耳を澄ませ、夜空に映える花火の輝きに目を細めることだろう。せつなさとはかなさを美しくきらめかせた恋物語は、読む者の心に静かな余韻と、一粒の涙を残してくれる。(中島正敏) |