ヘミングウェイ・アドベンチャー 4916199294 産業編集センター
■Amazonエディターレビュー 著者はイギリスの喜劇俳優。BBC放送のコメディ「モンティ・パイソン」や映画『ワンダとダイヤと優しい奴ら』などで知られる名優だが、文筆にも手を染め、小説『Hemingway's Chair(ヘミングウェイの椅子)』をはじめ戯曲、児童書などの著書がある。本書はヘミングウェイの人生をたどるBBC制作テレビシリーズの副産物として生まれたものであり、ペイリンはその番組の案内役だった。もっとも、ペイリンによると、テレビの内容をそのまま活字化したものではなく、撮影中とその前後に彼がつけていた日記とメモの集大成だという。 「アドベンチャー」のタイトルからも推察されるように、ヘミングウェイが試みた冒険の数々をペイリンが追体験するというのがこの企画の目玉だ。マス釣り、カモ猟、ボクシング、闘牛…。その行路はシカゴ、イタリア、パリ、スペイン、キーウェスト、アフリカ、キューバからアメリカ西部に及ぶ。また、ペイリンはパリの「シェイクスピア書店」「クローズリ・デ・リラ」、ヴェニスの「ハリーズ・バー」、キーウェストの「スロッピー・ジョーズ」といったヘミングウェイゆかりの店を訪ね、スペイン・パンプローナの牛追いの祭りを間近で見物する。 ほぼ毎ページに複数のカラー写真が配されるビジュアルな本だが、文章の魅力もそれに負けていない。ペイリンが記録するのは、ヘミングウェイが何をしたかということばかりではない。むしろ、ヘミングウェイによって触発された自らの冒険の方が中心的な主題だ。語り口は滑らかで親しみやすく、抑制されたユーモアが楽しい。(松本泰樹) |