■Amazonエディターレビュー ロックンロールの世界にはよくあることだが、汗をかかずに気楽につくった偶然の産物の方が、時代を決定づける記念碑的作品にしようと人生をすり減らして放った作品よりも出来がいいことがある。それと同じ目にオアシスがあったのが3作目の???Be Here Now???で、ノエルとリアム兄弟は顔を真っ赤にして汗だくになりながら奮闘し、靴下の中に入れた古びたエッグ・サンドイッチなような悪臭を漂わせるはめになった。ところが、シングルのカップリング曲とライヴテイクを集めただけの本作が1年後にリリースされると、リスナーの誰もが、そもそも何故この毛深い兄弟のファンになったかという理由をあっさりと思い出したのだ。
「Acquiesce」――心配しなくていい。オアシスは、このタイトルの意味はわからないが言葉の響きが気に入ったんだと認めている――は、シングルにならなかった曲のなかでは最高の曲だ。それとは対照的に『Be Here Now』の「D'You Know What I Mean?」は、確信犯的な弟が怒鳴り散らしているせいで、年老いた上品な老婆がせきこんでいるかのように聞こえる。悲しげな「Rockin' Chair」――もうひとつの“幻の”名曲だ――は成功しているが、ビートルズのカバーの実にひどいライヴテイク「I Am The Walrus」は、本物のセイウチに歌わせているかのようだ。だが、それはたいした問題ではない。本作には、オアシスの最近のキャリアに欠けている魔法のようなサウンドがみなぎっているのだから。(Caitlin Moran, Amazon.co.uk)