Glee B00000634L
■Amazonエディターレビュー カナダ製ポップスはときどき、アメリカ製ポップスとほとんど見分けがつかなかったり、ポーランドのヒットチャートから広まった最新サウンドのように聞こえることがある。モントリオールを拠点とする(ありがたいことに、フランス語ではなくて主に英語を使う)音楽集団ブラン・ヴァン3000は、1997年のこのデビュー作でアメリカ北部で早くもヒットを飛ばしたが、いわゆるふたつの感覚のあいだで揺れている。映画製作者/ビデオ監督のジェームス・ディ・サルヴィオ率いるブラン・ヴァン3000は、純真さとよこしまな企みとを組み合わせて、奔放さとばかげた魅力の両方を心得ていて、最新の(どちらかと言えば)放課後のお楽しみ的なサウンドをもとに、このアメリカでのリリース作を作りだしている。 本作の一番の売りは陽気なごった煮主義であり、さまざまなサウンドがあふれかえっている。テクノはもちろん、ヒップホップ、レゲエ、メタル、ポップ、ソウル、それにおそらく控え目ながらカントリーまでも意のままに操っている(ドラム&ベースとカントリーの「Willard」や、トリップホップ&ウェスタンの「Supermodel」がいい例だ)。 80年代のアーティストの中から、クワイエット・ライオットやザ・ザなどを予想どおりなんの脈絡もなく取り上げているが、何より目を引くのは、もっと最近のサウンドからの引用だ。無一文の浮浪者への叙情詞「Couch Surfer」や、南カリフォルニアでの無為の日々を語った「Drinking in L.A.」は、サンプリングと生の楽器とのミックスと白人ラップを用いて、「おれは負け犬さ……」と愉快で自堕落な日々をリスナーに振り返らせている。本作は少なくともある意味では、まさに時代を先取りしている。そして当然の結果として、90年代初期のサウンドを復活させた最初の記録となっていることは間違いない。(Roni Sarig, Amazon.com) |