■Amazonエディターレビュー 爆発的な創造の波が押し寄せ、苦悩と肉体的・精神的な疲労感が渦巻いていた1971年。そんな時代にレコーディングされた本作は、エリック・アンダースンによる絶望と再生への希求を歌った叙情詩であり、今やマスターピースとして広く認められている。ボブ・ディランの『Blood on the Tracks』やジョニ・ミッチェルの『Blue』と共に、シンガー・ソングライターものというジャンルを確立したアルバムと言えるだろう。アンダースンは、トランス状態を思わせる調子でカントリー、ゴスペル色が濃厚な9曲を歌い上げる。全編に統一感を与えているのは、繊細で流麗なアナログ風味の温かさだ。
ノーバート・プットナムによる細やかなプロダクションは、軽やかで伸び伸びとしたリリシズムにあふれており、今回の再リリース盤では、それが克明に再現されている。このアルバムならよく知っているという人も、意義あるリスニング体験を味わえるはずだ。細かいディテールのひとつひとつ――たとえば、「Faithful」におけるグラディ・マーティンのギター、「Blue River」に登場するウェルドン・マイリックのスティール・ギターとジョニ・ミッチェルの複雑なフレージングに彩られたバック・ヴォーカル、「Florentine」で音量が小さいにもかかわらず見事な展開を見せるファレル・モリスのヴァイブ――が、まるで初めて聴く音のように立ち上がってくるのだ。さらに、未発表トラックも2つ加えられた――初期のバラード「Come to My Bedside」のソウルフルな再演と、ケイジャン風に作り変えられたハンク・ウィリアムスの「Why Don't You Love Me Like You Used to Do?」だ。