交渉は「ノー!」から始めよ―狡猾なトラに食われないための33の鉄則 4478490422 ダイヤモンド社
■Amazonエディターレビュー 交渉術を解説した本ではギブ・アンド・テイクの関係をつくろうと配慮するのが、良い交渉法とされていることが多い。対して、本書はそれを真っ向から否定したもの。20年にわたり150社以上の、数千件にも及ぶ交渉についてコーチングしてきた著者が、その経験から「プレゼンはしないですませよ」「しゃべるな」など逆説的なものを含む33の鉄則を紹介していく。 なぜ交渉を「ノー」から始めるべきなのか。著者は最も望ましい「イエス」は、「ノー」の応酬から得られると考える。ろくに交渉を進めていない段階での「イエス」はまだ本当の意思決定とはいえず、互いにとって危険なもの。「ノー」と言うことによってこそ、相手の本音を引き出し、互いの意思を正確に伝え合うことが可能だというのだ。また、相手に心理的な打撃を与え事態が好転した例として、大企業にいいように扱われていた中小企業が「ノー」を突きつけることにより、競合他社を差し置き契約を勝ち取ったというエピソードなどが紹介されている。 本書で披露される鉄則の数々は、そのほとんどが場数をこなしてきた人にはむしろ当然のことと思われるものばかりだ。つまりは衝撃的なタイトルとは裏腹に、まっとうな交渉術を説いた本と言える。不慣れな読者にとっては格好の入門書となり、交渉ごとにはいささか自信があるという人も、逆転の発想に驚きつつレベルアップをねらえる楽しい1冊だ。(工藤 渉) |