ギャング・オブ・ニューヨーク 4150502544 早川書房
■Amazonエディターレビュー 19世紀初頭のニューヨークは、現在とはまったく異なる姿を見せていた。ヨーロッパから大量の移民が流れ込み、貧困にあえぐ人々で街は埋め尽くされた。街頭には売春婦が立ち、安酒屋の奥では賭博が行われ、路地には死体が転がっていた。そのような環境が、その後およそ100年にわたりあらゆる犯罪行為や、政治家や警察官の腐敗、暴動の扇動などの悪業でニューヨークを支配したギャングたちを生み出した。 貧しい不潔な家庭で育ち、まともな教育を受けることなく成長した若者は、ごく自然ななりゆきでギャングに加入する。惨めな環境から逃避するには大金が必要だが、地道に働こうとはしない。敵の眼球をえぐり、鉛の管で頭をかち割るといった残虐行為を行う者が、強く冷酷な男として尊敬を受け、暗黒街をのし上がっていった。 本書は「ギャングがもたらした社会的および経済的問題を解決し、犯罪を一掃する妙案」を提示する「社会学的な専門書」ではない。ここにあるのは、およそ1世紀にわたり街を荒らし回ったギャングたちの「華々しい武勇伝」を克明に描いた壮大なる年代記である。著者の筆致はギャングたちを人間味あふれる生き生きとした存在として描き、一大活劇に仕上げている。1つ欲を言えば、当時のニューヨークの地図が収録されていれば読書の大きな助けとなったであろう。 公開が待たれるレオナルド・ディカプリオ主演映画(同タイトル)の原作でもあり、作品の背景を知るうえでも必読の1冊。(深澤晴彦) |