「ス・ワンダフル」などジョージ・ガーシュウィンの名曲の数々にのせて、「永遠の妖精」オードリー・ヘプバーンの魅力が炸裂する、とってもおしゃれなミュージカル。写真撮影と視覚コンサルタントを世界的な写真家リチャード・エイヴェドンが担当し、衣装をハリウッドを代表するイディス・ヘッドとパリのデザイナー、ジバンシーが共同制作した。監督は?????・??£??¬?????????など、センスある映画つくりが光るスタンリー・ドーネン。フレッド・アステアの華麗なダンスも見ものである。(アルジオン北村)
男と女が、セックス抜きで本当の友人関係をつくれるか? 男女の永遠の命題を、『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督が自分の体験をもとに映画化した、コミカルなラブ・ストーリー。ライナーの大親友ビリー・クリスタルがハリーを、そしてキュートなメグ・ライアンがサリーを演じる。ライアンは、この作品によりラブ・コメディーの女王となった。そしてバックに流れるジャズ・ピアノとボーカルを、ハリー・コニック・ジュニアが担当しているのも見どころのひとつ。美しいマンハッタンの風景の中で、果たして友情が愛情に変わるかどうか…。(アルジオン北村)
筋は、単純だがいささか厄介だ。ひとりの大学生が恋をする―― その後何が起ころうとも一度限りと決めた恋だった―― その相手はクラスメートで、ジャック・ケルアックに心酔し、作家もどきのだらしない生活を送るばかりで、個人の責任という意識はひとかけらもない女子学生。あるとき、彼女はかなり年上の、すばらしく洗練されたビジネスウーマンに出会う。このワームホールをつきぬけた彼女は、村上の描くシュールでありながらも人間性の感じられる世界の登場人物として読者を引きつけ、今は教師となった、この恋をあきらめきれない青年を巻き込んでいく。
彼女は、日本の町からヨーロッパへ、さらにギリシャの孤島へと移動して、やがて失踪する。わずかに残された痕跡は、彼女の運命の輪郭を暗示する、コンピュータに残された奇怪なできごとの記録と、自作の小説に書かれたいくつかの挿話だけであった。青年教師は、呼びだされて彼女の捜索に加わるのだが、彼自身も不気味で強烈な幻覚を体験して、すぐに帰国する―― そして、はるかな深宇宙と、軌道を描きつづけるスプートニクのかなたから、ようやく、愛した女を心の底から理解するのである。
ラブ・ストーリーであり、失踪小説であり、探偵小説でもあり―― すべてが哲学的ミステリーに包まれた―― 突き詰めれば、人間の欲望を深く内省した作品である。