このアルバムでは、選曲の親しみやすさも魅力。マリガンがピアノを弾いているタイトル曲はメロディが美しく、ボサノヴァ< 2 >「カーニヴァルの朝」、ショパンのクラシック曲< 4 >「プレリュード:ホ短調」、それにスタンダードと、どの曲もチャーミングだ。簡単にいうと、ウエスト・コースト・ジャズとクラシックの室内楽をブレンドしたような、スマートで上品なテイスト。それに加え、全体が夜のムードで統一されているのだ。楽器編成もユニークだが、それらを効果的に生かしたアレンジも素晴らしい。イージーリスニング的だけど、イージーリスニングとはひと味違う極上のジャズになっているところが、名盤たるゆえんなのである。(市川正二)
本書は、アメリカの主要企業のCEOから採ったアンケートによって選び出された18社の歴史に対する6年間の調査から生み出されたレポート。企業を組織する人間が企業内に活力を生み出すのは、カネでは計れない動機づけにあるというシンプルな「真理」が、ライバル企業と比較された各社の資料、エピソードから浮き彫りにされる。著者の1人であるコリンズはコンサルティングも手がける大学教授であるためか、随所に抽象化された概念と企業が取るべき方策が図を合わせて示される。しかし、経営指南よりも、世界を代表する大企業の決断の歴史が斜め読みできる魅力の方が大きいだろう。(青木 明)